多文化キッズコーディネーター研修に参加して
多文化キッズコーディネーター研修「初級講座」に参加してきました。JAGEからは2名が参加しました。前回参加した。連絡会に対して、この講座は現場で、実際に多文化キッズを支援するために必要な知識やアプローチの方法を学び、現場で効果的な対応ができることを目指した研修でした。参加者は、各地の国際協力協会関係の方、目黒ユネスコ協会、東京YMCA、各地で日本語教育を実践しているNPO関係、日本語教室や日本語クラブの関係などでした。
講義内容は専門的で多岐にわたりました
★日本語を母語としないこどもを取り巻く課題とキッズコーディネーターの役割
東京学芸大学教授 齋藤ひろみ氏
★行政書士による多文化キッズ支援の専門性について
東京都行政書士会 常任理事 国際部長 鈴木健一氏
★多文化キッズに関する事例 社会福祉士の立場から 日本女子大学 教授 森恭子氏
★心理士として出会ったこどもたち 公認心理士 滑志田ひとみ氏
★東京都の外国人相談事業の紹介案内 公益財団法人
東京都つながり創成財団 多文化共生化外国人相談担当
主催 東京都つながり創成財団 常任理事事務局長 松井真司氏よりのあいさつ
日本語を母語としないこどもを取り巻く課題とキッズコーディネーターの役割
多文化キッズとは?日本国籍で日本語・日本文化以外の言語的文化的背景を持つ子供たちで、不就学の子どもたちと、外国人学校も含む教育機関に就学している子どもたちです。
公立学校だけでカウントしても公立小中高等学校に在籍する外国籍の児童生徒数114853人のうち日本語指導が必要な児童生徒数は58307人とのことです。言語的文化的背景では上位4位までではポルトガル語が最も多く11956人次が中国語9939 フィリピノ語7462人と多くスペイン語3714人、ポルトガル語やスペイン語は日系ブラジルやペルーからの帰国者が考えられます。日本の移住事業の結果としての還流者と推測できます。
キッズコーディネーターは異文化適応のため、文化的・言語的マイノリティの子どもたちの代弁者となるように心がける
齋藤先生の話では日系ブラジル人の生徒の作文から、日本社会への不適応は、彼らの望むことは、日本語を学んで、自分が日本人化するではなく、ブラジル人としてのアイデンティティを持った生き方をしたいということを書いている。これは、私たちが日本語を教える方向として、子どもの成長を助ける言葉の教育つまり、文化間移動する子どもの自己実現を支えるための、問題解決力として日本語の力をはぐくむ必要があるとの話でした。
行政書士による多文化キッズ支援の専門性
ここでの講義の内容は、相談業務を行うためには特に理解していないと問題解決が遅れます。
外国にルーツを有する子女への支援について必要な基本法令については「出入国管理及びその関係法令及び国籍法、さらに、当事者の本国法令について知識が必須です。例えば
◆国籍法においては、きわめて複雑で、日本人同士の子供でも海外で生まれた場合は届け出が90日をこえると外国人になってしまうこともあります。
◆父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき、その子は日本国民になるということも起こります。このような法令の知識を知っておくことが必要です。
◆ウクライナ難民の子女と保護者は在留資格は「告示外」の在留資格であるなど、知っておかなければならないことが多いです。
◆外国の法令では外国で出生したドイツ国民は、1年6月以内に出生登記をしないとドイツ国籍を喪失する場合もあります
といっても、概要を知り、必要な関係機関を早く紹介できるようにすることです。
東京入管のyoutube 外国籍の中学生・高校生のみんなへシリーズで分かりやすいのでご覧くださいpart1です。法務省のPDF版はこちらです
現在、活用できる機関の紹介
外国人在留支援センター(FRESC「フレスク」)は無料、匿名で相談できます。ここでは、共生社会の実現に向けた外国人の受け入れの環境整備で、地方公共団体との連携を行っています。対応できる言語も、やさしい日本語、英語、中国語、韓国語、フィリピノ語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語11言語と常時対応してくれます。
ナビダイヤルは0570-011000 で東京都新宿区四谷にあります。
弁護士による法的トラブルには
法テラス日本司法支援センターがあり、無料法律相談も行っています
こちらも、対応言語は11言語です。またこの法テラスはFRESC「フレスク」に窓口を持っており、四ツ谷で、FRESC「フレスク」と法テラスの相談を受けることができます
東京外国人雇用サービスセンター
こちらでは、事業主に対しての労働基準法など労務管理、安全管理の相談もできます。もちろん外国人労働者向けには労働条件に対する相談を受け付けています。
東京労働局による支援では扶養者・監護者などの就労支援、子女の就労支援の相談が行えますこちらは8言語対応です
東京都行政書士会では(行政書士ADRセンター東京)
ADR(alternative dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続きの促進のためのセンターを設けています。
ここでは外国人子女が学校でいじめられている。学校の待遇にふまんがあるなどのトラブル解決支援をおこなっています。裁判でなくて、調停で解決するという方法です。職場で差別される、職場の待遇に不満がある。学校の待遇に不満がある、自転車事故にあった、ペットのトラブルで困っている。賃貸住宅トラブルで困っているなど事例はたくさんあります。
多文化キッズに関する事例 社会福祉士の立場から
日本女子大学 教授 森恭子氏
社会福祉士(Certified Social Workers)とは身体上もしくは精神上の障害があり、日常生活を営むのに支障があるものの相談に応じ、助言、指導、福祉サービスや医師との連絡調整そのほかの援助をおこなうことをなりわいとするものである。多文化キッズの中には当然、日常生活を営むのに支障がある子どもたちも普通に含まれており、専門職のかかわりはどうしても必要になる。
森先生からは、自ら運営している子ども日本語・学習教室「たけのこ」の事例で、ボランティアだけではケアーが足りず福祉の専門職、社会福祉士の必要性を話されました。
心理士として出会ったこどもたち
公認心理士 滑志田ひとみ氏
公認心理士とは、保健医療、福祉、教育、その他の分野において、心理学に関する知識、技術を以て、心理状態の観察、分析、支援を要するものに、相談、指導、援助心の健康に関する知識の普及を図るための情報提供を行います。
例えば、急に親に日本に連れてこられて、戸惑う中学生に対して、スクールカウンセラーや巡回心理士として、本人、保護者、学校の間に立ち、解決のための知識、情報を教えたり発達障害の疑いがあるときは、検診を勧めたりして原因を明らかにし、コミュニケーションを図ります。
この後、公益財団法人 東京都つながり創成財団から外国人相談事業として
東京都多言語相談ナビ
相談員研修・事例共有会
ウクライナ避難民支援
東京外国人支援ネットワーク
相談支援システム 東京都外国人相談サポートサイト(T-Nets)について紹介があった。
最後にワークショップを行った、4班に分かれて、テーマを選び解決策を話しました。
各班とも活発な討議を行い、発表しました。
まとめると、重要なことは、学校、教師、教育委員会、コーディネーターの連携だが、現在は連携が取れているとは全く言えない状態で、それぞれが独自に動いている。これでは多文化キッズにとって良いことではない。これこそ多文化キッズコーディネータシステムがそれぞれを有機的につなげることができればよいのだが、まだ、始まったばかりで、コーディネーターの地位も定まっていない。ぜひとも、このシステムの認知と拡大をお願いしたい。
私たち、NPO法人全国国際教育協会のかかわり
私たちのグループは、戦後、日本の移住政策を全国の農業高校の教師を中心に学校内で支え展開してきました。JICAが移住事業団から開発援助ODAに主力を広げたことに呼応し、農業高校だけでなく、工業、商業、普通高校などに広げてきました。その流れは現在になり、移住から全く逆の、日本への外国人の流入が起こり。私たちの役目は、日本に住む多文化の外国人との共生のためにできることを行うという方向に進展してきました。日本語教育、教育相談、生活支援などに広げております。特徴は学校現場を最もよく知るグループで、この多文化キッズコーディネーター、スーパーバイザー事業に参画します。
私たちの強みをあげておきます
- 多様性をもった組織員
- グローバル教育に携わってきた歴史
- 校内での問題解決実践力相談業務いじめ対応など専門的に行える
教育を取り巻く課題解決への実践の歴史
- 義務教育から高校への橋渡しの情報を多く持つ (報告 斉藤)