障がい者アート配信サービス ParaCanvasの紹介
6月16日の理事会後の講演会で、今年4月からサービスを始めたばかりの、ParaCanvas(パラキャンバス)の社長に来てもらいました。オフィスやお店を障がい者アートで彩るデジタルキャンバスです。とてもユニークな活動なので、ご紹介いたします。
株式会社ウィンドベルの常住和弘社長とディレクターの潮平寿賀子さんに来てもらいParaCanvas(パラキャンバス)を持ち込んでの実演と講演をいただきました。
常住社長の講演からまとめますと 日本の障がい者の人数は964万7千人国民の7.6%います(令和3年障がい者白書)その中で自立している障がい者はほんの数パーセントなのです。
法定雇用率に達する雇用を行う企業も令和3年3月以降引き上げられましたが民間企業では2.3%と低率です。従業員43.5人以上雇用している事業主は障がい者一人以上雇用ということですが、特に罰則はありません。
一方で、障がい者には雇用に不安な理由がたくさんあります。例えば
自分の障がいに向いている仕事とのマッチングが取れない
通勤ができるか心配
障がいをオープンにすることへの風評
体調が不安定で、働き続ける自信がない
職場でのコミュニケーションが不安
など、さまざまな問題があり、雇用は進みません。
いま、世界で企業は持続可能性を目指し、SDGsに取り組んでいます。ところが、障がい者雇用に対する企業の取り組みは雇用率を法定雇用率に近づけるといった、数値目標的なもので、障がい者の働きがいを考えるとき、しっくりくるものがないのが現状です。
一方で、障がい者アートの特徴の一つに「ユニーク」であることが挙げられます。
描かれたアートを見たとき、ドキッとするような、新鮮な感覚を受けます。それは、ユニークな視点で「描きたいときに描きたいものを描く」、自由な、アール・ブリュット(生の芸術)と言えるからではないでしょうか。
常住和弘社長はこの両者の課題を結びつける解決策として「目に見えるSDGs」を提案
パラキャンバスを導入するメリットとして最も大きい意味があるのが「SDGsへの取り組みを可視化」することが出来るという点です。
この取り組みで可視化される目標は
【SDGs:8】働きがいも経済成長も
多様な障がい者の生活に対応できるユニークなアートの発表。企業にとってはSDGsに参加していることが可視化ができる
【SDGs:9】産業と技術革新の基盤をつくろう
台湾の情報通信大手、ウィストロン株式会社の技術を使ったデジタルキャンパスの利用、NFT暗号技術など入れないでも、著作権を守り配信できる最新技術。
【SDGs:10】人や国の不平等をなくそう
採用されなかった創作者にも創作活動応援費を支給して不平等をなくす。
ユニークだから気づいてもらえる
パラキャンバスでは年間120点もの障がい者アートが配信されます。
エントランス、エレベーターホール、待合スペース、会議室などに簡単に設置できるパラキャンバスなら、お客様や取引先様がいらっしゃる毎に、常に毎回違った障がい者アートを楽しんでいただけます。
オフィスのインテリア・オフィスアートにも最適で、飾るだけでオフィススタッフの9割以上が障がい者アートの癒し効果を実感したという研究結果もあり、ちょっとした待ち時間のストレスの緩和や、煮詰まった会議のアイスブレイクにも貢献してくれるでしょう。
(出典:「全国初!障がい者アートの心理的効果をビジネス化」2018年8月)
ParaCanvasは寄付やボランティアではなく、アートによる障がい者の就労を実現し自立を目指す、いわゆるSDGsな取組みと言えるでしょう。いわゆる、見えるSDGsとして、投資効果以上のリターンを生み出すことが可能なサービスです。
他のデジタルサイネージと何が違うの?
既に世間にはデジタルサイネージが普及しつつあります。病院の待合室や、カーディーラーの商談スペース、駅や商業施設、工事現場などにもデジタルサイネージは設置されています。ParaCanvas(パラキャンバス)はこれらのデジタルサイネージと何が違うのでしょうか?
お客様にくつろいでいただく目的でのデジタルサイネージには、「京都の竹林」や「流れる小川」などの落ち着いた自然の風景や、「北極圏の夜空」や「ウユニ塩湖」などの世界の絶景が流されていたりします。素晴らしい風景をみて気分を害する人は少ないですが、風景ゆえに特に人の目を引くことも無く、SDGsのPRにも寄与しません。
障がい者アートが掲示できるSDGs型のデジタルキャンバス
常住和弘社長は「障がい者アート協会」とパートナーシップを組みデジタルキャンバスでその作品を配信することで、企業様・団体様に作品を絵画のように楽しんでいただき対価をいただくことで継続的な経済循環の仕組みをつくり、障がいがありながらも創作活動を続ける人々と社会をつなぐことを理念として考えました。
社会貢献・慈善活動・SDGsへの取り組みの告知が配信されるので、さりげなく社内外に発信する事ができます。最終的には障がい者の経済的自立を目指す今までにない「広告」ではないデジタルサイネージなのです。社会貢献・慈善活動・SDGsへの取り組みをHPやSNSなどで配信できるうえ、ブランドイメージを高めることができ、企業やお店のファンを増やすことができるのです。
学校現場などではどのように協力できるか考えてみました
★一つは、各学校に登校している障がい者学生や支援学校に対して、自分の創作物を登録することで、採用されるかもしれないという働き方の一つとして広報すること。
★学校の、エントランスなどに常設することで、学校や教育員会として社会貢献に参加すること。学校だってSDGs貢献を考える必要があるでしょう
★文化祭などでの、バザーや屋台の生徒会収入などの寄付先を決めますが、寄付利用先の選択肢の一つとしてParaCanvasを加えること。
★大学などではSDGsの取り組みの一つとして広報費の一部にParaCanvas(パラキャンバス)を採用してエントランスに設置することで、障がい者支援に貢献しているとして大学のイメージ向上につながります。直接の大学広告ではなく、貢献のイメージ戦略になるでしょう。
ぜひ、話を聞いてみたい方がいらっしゃいましたら、wind-bell「株式会社ウインドベル」 社長の方にご連絡ください。
(報告 斉藤宏)