青年海外協力協会(JOCA)事業推進部、 並びに国際協力機構(JICA)事務局駒ケ根訓練所訪問

青年海外協力協会(JOCA)事業推進部、
並びに国際協力機構(JICA)事務局駒ケ根訓練所訪問

特定非営利活動法人全国国際教育協会(以下、当協会とする)は、平成31年1月18日、理事長矢田部、事務局長豊田、常任理事関、同幸田の4名が、表記の両施設を訪問し、事業内容の説明を受け、将来展望等について懇談した。以下、その概要を報告する。

1 長野県駒ケ根市までの経路

JR中央線武蔵境駅に集合、理事長のワゴン車に同乗して午前10時出発。諏訪湖ドライブインで昼食休憩し、駒ケ根のJOCA事業推進部には14時頃到着する。挨拶の後、相互に自己紹介を行い、その後、事業推進部を代表して吉水直保(事業推進部長)、加藤秀一(グローバル人材育成課・国際協力課長)、伊東高宏(グローバル人材育成課)、井上恭輔(国際協力課)各氏と懇談をする。

2 JOCAでの懇談内容

先ず、当協会理事長から、長年にわたってJOCA事務局は東京都区内に置かれていたが、昨年から駒ケ根に移転された理由について伺う。課長の加藤氏から移転について説明を受けた。JOCAがグローバル時代においてより機能的に活動できることを目的として、地元の方々と一緒に地域づくり、まちづくりを行うために当地を選んだと説明された。
次に、JICAが主催し、JOCAが担当する高校生の「エッセイコンテスト」についての審査上の問題や今後の課題、方向性等について意見交換を行った。
エッセイコンテストの歴史については、我が国が、南米移住を推奨していた60年近く前から始まり今日に至る歴史あるコンテストである。当初は、7千部ほどの応募状況であったが、今日では、高校生の部が3万5千部、中学生の部もその後実施され、今では4万部近くの応募があり、どちらも内容等も年々充実し、数多ある作文コンテストのなかで、他を凌駕するまでに学校現場に浸透してきていると説明された。
また、今日、グローバル化が進む中で、当エッセイコンテストの果たす意味、役割の重要性を認識し取り組む上で、当協会の一層の支援と協力を依頼された。特に、若い世代が世界に目を向けて活躍することへの期待は、今後ますます強くなるので、教育現場に於いて指導される先生方へのJICA主催エッセイコンテストへの一層の関心と工夫を凝らしたいと、今後の課題等について話された。
次に、審査員からの指摘として、鉛筆書きが大多数であるが、鉛筆の濃度が薄く読みずらい作品があること、パソコン使用の作品の扱い等について審査規定への明示の可否等について意見交換を
行った。
高校生エッセイコンテスト2018 高校生の部の個人賞に、長野県から2人の入賞者が出たことも
うれしいことだったと紹介があった。
なお、JOCAからは、新しい応募の試みとして海外の日本人学校に在籍する生徒からの応募も可能とするウエッブを立ち上げたこと、特に、近年は大学入試に於ける推薦書などもウエッブを利用する時代でもあり、時代に対応した応募方法も試行中であると、話された。

3 JICA青年海外協力隊 駒ケ根訓練所

続いて、JOCA事務局職員の案内により車で10分ほどの駒ケ根市内にある訓練所を訪ねる。
所長の清水勉氏、広報担当の岡田妙子氏らの出迎えを受け、応接室において訓練所の歴史や訓練内容等につき説明を受ける。その後、施設内の見学と派遣前訓練の様子等について見聞した。
懇談の中で、青年協力隊の隊員の派遣後の進路や、帰国後、その経験を活かして、災害地での復興支援活動に協力するなど、協力隊への認識が一層共有されるようになったと所長から説明があった。一方では、青年層の派遣に留まらずシニア層の派遣についても、社会的認識が高まりつつあることを強調された。
また、地域との関係では、信州(長野県)に於ける国際協力の最前線を担うことを目指し、地域社会での国際交流事業の推進や小中高の国際教育推進のための施設の利用や講師の派遣、海外からの研修員の受入れ等、積極的に取り組んでいる。従って、当訓練所では、こうしたボランティア事業と市民参加協力事業を2大柱として取り組んでいると説明を受けた。
研修生が熱心に訓練を受け、励んでいる姿を見ることができた。施設が充実していること、派遣される研修生の健康や安全管理面にも配慮がなされていることも理解できた。

―訓練所の歴史―

JICA駒ケ根訓練所は、1965年(昭和40年)に青年海外協力隊制度が発足した14年後の1979年(昭和54年)に開所し、以来今日まで40年近い歴史を重ね、駒ケ根訓練所での修了者は、2017年(平成29年)現在2万人を超えている。
―派遣前研修内容―
訓練期間は70日であるが、その間の訓練内容は、①海外に於ける安全対策、②異文化理解ワークショップ、③訓練所外活動、④野外訓練+③、⑤任地の語学、⑥語学交流会、⑦最終語学試験
で構成されている。

―派遣前研修を実施する国と地域―

英 語   : ブータン、モルディブ、インド、大洋州諸国、カリブ海諸国 等
スペイン語 : メキシコ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、パラグアイ等の中南米諸国
フランス語 : セネガル、ブルキナファソ等の西アフリカ諸国、カメルーン、ガボン等の中部アフリカ諸国
ネパール語 : ネパール
シンハラ語 : スリランカ
ロシア語  ; キルギス、ウズベキスタン(一部地域)
キルギス語 : キルギス
ウズベキ語 : ウズベキスタン
※ 隊次によっては、当該言語の訓練を実施しないこともある。
※ 講師は、駒ケ根市在住者の他、県内はじめ広く東京都を中心とした関東一円から大学の教職員や日本国内居住の派遣国出身者に依頼しているが、講師の職種は多岐に及んでいる。

4 感想

見ると聞くとでは大違いとよく言われる。また、さまざまな現場感覚の重要性もしばしば論ぜられる。世界があっての日本、日本があっての世界、そんな関係のよりよい在り方を模索し、発展ささるためには、一人ひとりが、先ず、出来ることから一歩の歩みを始める。そして、何らかの意味で、何らかの形で継続する。そういうことを大切にしてゆきたいものだとの思いを強くした訪問となった。
夕日に映える冠雪した富士山、駒ケ岳を仰ぎつつ、17時近くJICA駒ケ根訓練所を辞去し、宿泊地の諏訪湖方面へ向かった。
最後に、駒ケ根のJOCA事業推進部、JICA駒ケ根訓練所の方々には、ご多忙の中を何かとご配慮を賜り、貴重なご説明、ご意見等をいただいたこと、厚くお礼申し上げます。
(矢田部 正照)

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