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特別講演「21世紀の教育の考え方と実践方法」
5月27日、総会前の多田孝志教授による、特別講演「21世紀の教育の考え方と実践方法」には、国際協の会員以外でも、さまざまな立場の方々が、ぜひ聴きたいと集まりました。1時間の短い中に、混迷する21世紀の社会の課題にグローバル時代の学校教育はどう変革されるべきか、変容をもたらすグローバル時代の対話力について話していただきました。
講演のなかで、まず先生からとなりのかたと、最近の高校生の問題点について話してみてくださいと言われました。このような発問が講演の間に何度か繰り返されました。このアクティビティは緊張を解くと同時に、その時の論点を深く考えるきっかけを与えるとともに、受動的な聴講者でなく、能動的な聴取者になっていくきっかけにもなり、相互の対話を促進することに気づきました。
従来の教育に対して、21世紀の教育は変わらなくてはならない、急激に動き始めている経済のグローバリゼーションとそれに巻き込まれる若者たちに、教育界として何をはぐくめばよいのか、その課題に対する解決策として、多田先生は、欧米にはない日本人独特の「相互扶助の精神」や「感性の豊かさ」は森羅万象を視野にいれた教育を展開できるのではないかとも考えているようでした。
今の若者たちが、世間の目に答えようとするあまり、周りに同化し「透明な自分」を演出している姿はこれで良いのかと考えさせられました。
興味深い例として、「釜石の奇跡」において、当日校長もいない学校から、中学生たちが、自主的に山を目指し逃げていきました。その時に、途中の小学校の生徒は、校舎4階に逃げようとしていたのです。そこで、中学生たちは、小学生たちにそこではだめだと話し、そろって裏山に逃げ始めました、裏山の中腹に、大人たちは安全と思い、とどまっていましたが、海を見た中学生たちは、ここでも危ないと悟り、さらに上に登り全員が助かったことを話されました。結果、津波は小学校4階はおろか、裏山の中腹も襲ったのでした。
日本においても多様な考え方や文化が日常生活においてもグローバル化の流れの中で押し寄せ、すでに、「先生の言うことを聞きなさい」という教育が限界にきていることを理解しなくてはならないのでしょう。答えが一つの時代は終わりました。たくさんある解決法のなかから、自分の答えを見出す力が望まれているのです。 しかし、釜石の奇跡を起こしたように学びの方法をしっかり確立すれば、誰でも力を出せることが証明されたのです。
この力こそ、自分で決定していく力、自分で自分の人生を選択する力でありこれをはぐくむ教育こそが21世紀に望まれる教育といえるでしょう。、これはいま、一部で始まっているトップエリートを引き上げることでは解決しません。 日本の子供たち誰もが必要な力なのです。
この教育には、語彙力など基礎力養成は欠かせませんが「対話」を深めさらに「深い対話」を導く教育をおこなうことにより心の変容に至る教育につながると話されました。 私たち、全国国際教育協会にとっても、ファシリテーションのスキルをベースに、対話を深め学校現場にかかわり、続けていきたいと改めて思いを強くしました。
全国国際教育協会 (JAGE)第5回総会報告
総会では、5年を経過したJAGE、国際協が、社会的認知と支援をうけ、学校現場と社会をつなげるミッションを自覚し、地に足をつけた活動を展開していくこと、開発教育・グローバル教育等に関する人材育成、普及促進、調査研究、政策提言等を進めていくことなどが確認されました。
また、地域学校のグローバル交流会で外国の留学生との交流を支援するとともに、公益に資する講演会、エッセイコンテストやグローバル教育コンクール等、コンテストを通じて世界的規模の課題を考えさせたり、その結果を教材として活用し、子供たちに気づきを与えることなどに力を入れて行きます。
またWEDネットワークを使った広報戦略を拡大していくこと、さらに北海道、九州など地方支部の拡大し、グローバル教育の実践に力を入れていくことが確認されました。
課題としてでた補強意見として、農業青年の海外移住を日本式グローバル教育で世界に送り出したこの組織の前身が行ってきた、教育の歴史や実態を今とつなげる研究の必要性がいわれました。確かに、50年をこえて、私たちの行ってきた日本発のグローバル教育の姿を明らかにすることは重要だと考えます。
また地方組織の拡大には、JICAの全国各地の支部との連携、JICA本部とのWEBを通じた連携などが必要だとのアドバイスを受けました。 今年度は、ODA事業などへの入札なども視野にいれ、事業拡大を図っていきたいと思います。(斉藤宏)