特定非営利活動法人 江東国際交流協会は東京都江東区を中心とする東京都東部地区で活動するボランティア団体です。地域の外国人が言語や生活文化、制度面での違いを理解して円滑な生活を送れること、そして日本人と外国人が互いに交流することを目的として様々な支援活動を行っています。
代表理事の龍野裕通さんに話を聞きました
龍野さんは、慶応大学院出身で、社会学を研究されたそうです。修了後、三菱商事を経て、ヨーロッパのボルボやBMWで長く働いてきた、国際派で、ご自身も、海外では現地の人たちから助けられてきたこともあり、リタイヤ後、江東区で外国人の生活支援をすることを考え任意団体外国語ボランティア・コートーク(Language Volunteer Co-talk, LVC)に参加したのが活動の初めだそうです。2016年4月にそれまでの任意団体からNPO法人として法人化したそうです。現在会員は80名ほどで、多様な事業を展開しています。主な事業を紹介します。
1.生活支援
外国人が日本で生活する時、日本の生活のルールや文化など、わからないことがたくさんあります。それらを解決できるよう手助けをします。例えば江東区の小学校に通っている子どもがいる家庭で、学校で配布されたプリントの意味が分からないなどの悩みも解決しています。
2.日本語支援
ことばは社会で生活(せいかつ)するために、とても重要(じゅうよう)な要素の一つです。
・外国とつながる子どもたちの日本語の勉強をたすけます(教室での対面指導)
・江東区に住んでいるおとなの外国人に生活のための日本語を教えます。
日本語の授業(じゅぎょう)では外国語は使わないで、原則日本語で教えています。
高校生以上の生徒への日本語指導はオンラインで行っています。先生たちは研修等で質を高め、外国人ができるだけ満足できる教室を開いています。
3.にほんごカフェ
在住外国人家庭の中にはご主人は外で働き、子どもは学校で日本人と接する機会も多いのですが、奥さんたちの中には日本人の友達もできない、せっかく勉強した日本語も使う機会がないなどの悩みを抱える方がいます。そうした方たちのためににほんごカフエ事業をしています。集会所などを借りて、定期的にカフェを開き、お茶を飲みながらリラックスして「やさしい日本語」での会話を楽しみます。
4.やさしい日本語の啓蒙普及活動
日本語会話といっても、外国人と話すためには、日本人同士で使う普通の話し言葉では良く伝わりません。例えばはさみの法則といわれるように、「はっきり言う」「さいごまで言う」「みじかく言う」ことにあらわされる話し方を身に着ける必要があります。役所の方などが外国人住民に接するときに、特にこれが必要になります。そのため最近、例えば自治体の職員など外国人と接する機会の多い方々に講習会を開くなどしてこのやさしい日本語に対する理解を広げています。
5.その他の活動
江東区にある外国人留学生の多い大学への夏季短期語学研修生のために、日本文化の紹介(しょうかい)やオンラインで現地と結んで日本人の生活の紹介などをしました。官庁からの通訳依頼も多くその殆どを無償で引き受けています。外国人のなかには例えばDVが原因の離婚など様々な理由で厳しい生活を強いられている方がいます。彼らの生活保護の申請を助けたりもしています。また、特別養護学級への入学の手助けなども自治体からの依頼で実施しています。
今後の私たち、NPO法人全国国際教育協会との協力関係について
江東区は中国残留家族を受け入れてきた歴史があり、以前から中国出身の方は多かったのですが、最近は中国から移住する方々が急激に増えてきています。その多くが日本での永住志向を強くお持ちです。最近のこうした移住者の中には、日本での生活の準備をせず来日する方々も多くなっています。子供たちの中には日本語が全くわからない例も増えてきており学校生活に深刻な問題を抱えるケースも増えてきています。特に日本への永住志向が強ければ当然、義務教育を終えた段階で日本の高校に入学しこれを卒業することが必要です。
その分野において、学校現場をよく知っている私たち協会の力も必要になってきます。今回は、11月10日の進学ガイダンスを隣の区、江戸川区で行うこともあり高校進学の支援においては、私たちのようなグループとの協力も必要となってきます。私たちも、江東国際交流協会が行っている事業にはなじみがあり取り入れるものは取り入れていきたいと考えています。
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(2024年10月22日報告斉藤)